社会保険労務士(通称:社労士)は、労働・社会保険に関する唯一の国家資格。労働法・社会保険法に基づき、「労働社会保険諸法令に基づく書類の作成・提出代行」「労務管理・社会保険のコンサルティング」「年金相談」などを独占業務として行います。
「人事のプロ」「労務管理のプロ」として、企業の働き方改革・労務トラブル対応・年金相談などで需要急増中。「ハラスメント対策」「副業・テレワーク制度設計」「人事DX」などの現代的課題で、社労士の活躍領域が大きく広がっています。
社労士の独占業務(3つ)
- 1号業務:労働社会保険諸法令に基づく申請書類等の作成・提出代行
- 2号業務:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
- 3号業務:労務管理・社会保険に関するコンサルティング(非独占だが社労士の主業務)
主な出題分野(10科目)
- 労働基準法・労働安全衛生法
- 労災保険法・雇用保険法
- 労働保険徴収法
- 労務管理その他労働に関する一般常識
- 健康保険法・国民年金法・厚生年金保険法
- 社会保険に関する一般常識
社労士試験は年1回・8月第4日曜日の集合試験。選択式(午前)+択一式(午後)の2部構成で、合計7時間以上の長丁場です。
試験データ(2026年版)
- 受験料:15,000円
- 受験資格:あり(大卒・短大卒・専門卒・実務経験3年・行政書士など)
- 試験日:年1回(8月第4日曜日)
- 試験時間:選択式80分/択一式210分(合計約5時間)
- 出題形式:マークシート(5肢択一)
- 問題数:選択式40問/択一式70問
- 合格基準:科目別足切り+総合得点
- 合格率:6〜8%
選択式(5科目・80分・40問)
5択から1つ選ぶ穴埋め形式。各科目5問中3問以上正解(科目別足切り)+総合点クリアが必要。「1科目でも2問未満(基準点未満)」だと不合格になる、過酷な足切り制度です。
択一式(7科目・210分・70問)
マークシートで5肢択一。各科目10問中4問以上正解(科目別足切り)+総合点クリアが必要。「労基法・雇用保険・国民年金・厚生年金」など、複雑な法体系を理解する必要があります。
受験資格
社労士は受験資格あり。大卒・短大卒・専門卒・実務経験3年以上・行政書士などの条件をクリアする必要があります。「高卒のみ」だと受験資格なしのため、行政書士を先に取って受験資格を得るルートもあります。
① 労働・社会保険分野の「唯一の専門家」
社労士は労働法・社会保険法分野で唯一の国家資格。「人事のプロ」「労務管理のプロ」として、企業・個人双方からの相談に対応できます。働き方改革・ハラスメント対応・人事DXの時代に、需要が急速に拡大している分野です。
② 月30,000〜80,000円の資格手当
大手企業の人事部門・社労士法人で、社労士には月30,000〜80,000円の資格手当。年間360,000〜960,000円のプラス。「労務監査担当」「人事顧問」として独立採算を任される会社員も多数。
③ 独立開業しやすい士業
社労士は「独立開業しやすい士業」として、行政書士と並ぶ人気資格。「顧問契約」を月3〜10万円で複数企業から獲得すれば、年収600〜1,500万円の独立社労士が現実的に。「企業からの定期収入」が見込めるビジネスモデルが魅力です。
④ 副業・週末稼業・コンサル業の機会拡大
社労士保有者は「労務相談」「就業規則作成」「助成金申請」などの副業案件が豊富。週末や夜間に月5〜30万円の副収入を得るサラリーマン社労士も増えています。
⑤ 「ダブルライセンス(行政書士・FP)」で業務拡大
「社労士+行政書士」「社労士+FP」のダブルライセンスは士業界で非常に強力。「企業の人事+経営+税務」を一手に引き受ける独立コンサルとして、年収1,000万円超のキャリアが視野に入ります。
社会人で平日1.5〜2時間・休日3〜5時間を勉強に充てられる方向けの、現実的な1.5年プランです。合計800〜1,200時間で合格レベル到達を目指します。
第1〜10週:労働基準法+労働安全衛生法(120時間)
最初の2.5ヶ月で「労働基準法」「労働安全衛生法」を集中学習。「労働時間・休憩・休日・解雇」「労災・健診」などが頻出。労基法は社労士試験の土台となる最重要科目です。
第11〜20週:労災保険法+雇用保険法+徴収法(120時間)
「労災保険法」「雇用保険法」「労働保険徴収法」を学習。「業務災害・通勤災害」「失業給付」「保険料計算」などが頻出。各法律の体系を頭に入れます。
第21〜32週:労働一般+健康保険法(130時間)
「労務管理その他一般常識」「健康保険法」を学習。「育児・介護休業法」「労働契約法」「健保の保険給付」などが頻出。「労働一般常識」は社労士試験で最も難しい科目とされます。
第33〜48週:国民年金法+厚生年金保険法(最重要・200時間)
最大の山場「国民年金法」「厚生年金保険法」。「老齢・障害・遺族年金」「年金額計算」「離婚分割」など、社労士試験で最も複雑かつ得点源にすべき科目。図表を多用して暗記するのがコツ。
第49〜60週:社会一般+過去問演習(120時間)
「社会保険一般常識」+過去問10年分3周。「医療保険・介護保険・国民健康保険」などが頻出。社会一般も足切りに引っかかりやすい科目です。
第61〜78週:直前総合演習+模試(200時間)
予想問題集・模試を本試験形式(合計5時間)で解き、「選択式各科目3点以上+総合21点以上」「択一式各科目4点以上+総合46点以上」を安定させます。本試験7時間以上の体力的な慣れも重要。
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Case 1:34歳・人事部社員(東京)
人事部の業務理解を深めるため社労士に挑戦。スタディング+過去問道場で1.5年学習し2回目で合格。「1年目は『労働一般』の足切りで不合格。2年目は労働一般を徹底対策して突破。合格後、人事部の労務担当主任に昇進、年収530万→620万円に」。
Case 2:40歳・元営業職→社労士独立(神奈川)
営業職から社労士独立を目指して、行政書士で受験資格を得てから挑戦。アガルートの動画講座を2年活用し合格。「『社労士+行政書士』のダブルライセンスで顧問契約獲得スピードが圧倒的に早かった。開業2年目で顧問先12社、年収720万円に」。
Case 3:52歳・元会社員→社労士法人勤務(埼玉)
会社員の早期退職を機に社労士に挑戦。TACの対面講座を2年受講し合格。「年齢的に独学だと続かないので、対面講義の強制力が必要だった。合格後、地元の社労士法人に勤務社員として採用、年収580万円スタート。3年後の独立を視野に経験を積み中」。
社労士は、「労務・人事のプロ」として、大手企業・社労士法人・独立開業まで多様なキャリアが開ける高難度国家資格です。
業界別・年収アップ目安
| 業界・職種 | 想定年収 | 活躍シーン |
|---|---|---|
| 大手企業 人事・労務部門 | 600〜850万円 | 人事戦略・労務監査 |
| 社労士法人(勤務社員) | 450〜700万円 | 大型顧問先対応 |
| 独立開業(個人事務所) | 500〜1,500万円 | 企業顧問契約・労務相談 |
| 副業・サラリーマン+週末 | 本業+100〜400万円 | 就業規則・助成金申請 |
王道ルート:社労士 → 独立開業/ダブルライセンス(行政書士・FP)
社労士を起点に、「独立開業」か「ダブルライセンス(社労士+行政書士/FP/中小企業診断士)」に進むのが王道。「社労士+行政書士」で企業全般、「社労士+FP」でライフプランに強みを発揮できます。
大卒・短大卒・専門卒、実務経験3年以上、行政書士などの資格保有者が代表的。「高卒のみ」だと受験資格なし。高卒の方は「行政書士を先に取って受験資格を得る」ルートが定番です。
取れますが、「人生でも最大級の長期戦」。800〜1,200時間の学習が必要。文系・未経験から1.5〜2年の本気の覚悟が必要です。法律用語に最初は戸惑いますが、慣れれば「労働法と社会の繋がり」が見えて面白くなります。
独学合格率は2〜3%とも言われ、独学突破は非常に厳しいです。「最低でも通信講座」が定石。スタディング(79,800円)など低価格の動画講座から始めて、模試・直前対策で予備校を併用するのが現実的です。
士業の中でも最高難度級。「800時間以上の学習」でも1発合格は難しく、「2〜3年計画」で挑む方が多数。「科目別足切り」の存在が、合格率を大きく下げる要因です。1科目でも基準点未満で不合格になります。
「労働関係の一般常識」「社会保険関係の一般常識」の2科目。厚生労働白書・最新の労働統計・育児介護休業法などから出題される「範囲が広く対策しにくい科目」。社労士試験で最も足切りに引っかかりやすい難関です。
年1回・8月第4日曜日のみ。落ちると1年待ちのため、計画的な学習が必須。出願は4月中旬〜5月末、結果発表は10月初旬。「絶対1発合格」を狙う方は1.5〜2年の余裕を持って学習開始を。
「労働保険・社会保険の手続き」「就業規則・労務管理コンサル」「年金相談」「助成金申請」などが主業務。「働き方改革」「人事DX」「ハラスメント対応」などの現代的課題で、社労士の活躍領域が大きく広がっています。
社労士は「労働・社会保険分野」、行政書士は「許認可・契約書類」、税理士は「税務」と棲み分けがされています。「社労士+行政書士」のダブルライセンスが最強で、企業の「人事+経営+労務」を一手に引き受けられます。
国家資格のため有効期限なし・更新不要。一度取得すれば一生使えます。ただし、社労士会の「研修受講義務」があり、年に数回の研修参加が求められます。年会費は約7〜10万円。
社労士の先には、独立開業・大手企業の人事戦略、そしてダブルライセンス(行政書士・FP・中小企業診断士)の世界が広がっています。
- 行政書士の詳細記事
- FP2級の詳細記事
- 宅地建物取引士の詳細記事
- 社労士独立開業のロードマップ
シリーズ記事を通して、「社労士から始める、人事・労務のキャリア設計」を伴走します。