第一種電気工事士(通称:電工1種)は、電工2種の上位資格で最大電力500kW未満の自家用電気工作物の電気工事を行うことができる国家資格です。電工2種では扱えなかった高圧(6,600V)設備を扱えるため、商業ビル・工場・大型施設の電気工事に従事できる、電気工事業界の中核資格です。
電工1種を取得すると、「街の電気屋さん」から「ビル・工場の電気プロ」に立場が変わります。ビルメン業界でも年収レンジが一気に上がり、「電工1種+実務経験」で電気工事会社の独立開業も視野に入ります。
電工2種との違い
- 電工2種:600V以下(一般住宅・小規模店舗)
- 電工1種:500kW未満の自家用電気工作物(中小ビル・工場)
- 電気主任技術者:500kW以上(大型ビル・大規模工場)
免状交付に「実務経験」が必須
電工1種は試験に合格しただけでは免状が交付されないのが大きな特徴。3年以上の電気工事の実務経験(電工2種免状取得後など)が必要です。試験合格後5年以内に実務経験を満たして申請する仕組み。「先に試験を取って、働きながら実務経験を貯める」パターンが一般的です。
電工1種は学科試験+技能試験+実務経験3年の3ステップ。学科と技能はそれぞれ年1回(学科10月/技能12月)の実施です。
学科試験データ(2026年版)
- 受験料:10,900円(CBT 11,300円)
- 受験資格:なし(誰でも受験可)
- 試験時間:2時間20分
- 出題形式:マークシート(4肢択一)
- 問題数:50問
- 合格基準:30問以上正解(60%以上)
- 合格率:50%前後
技能試験データ
- 試験時間:1時間
- 出題:事前公表の候補問題10問から1問
- 合格率:60%前後
- 必要工具:圧着工具・ペンチ・ドライバーなどフルセット
- 練習材料:電線・器具セット(20,000〜30,000円目安)
免状交付の要件
学科+技能合格後、「電気工事に関する実務経験 通算3年以上」を満たし、都道府県知事に免状交付申請します。電工2種を持って電気工事会社で3年働いた経験などが該当。「合格証書」と「免状」は別物なので注意。
① 年収レンジが100万円単位で上がる
電工2種が「未経験ビルメン」の登竜門なら、電工1種は「電気のプロ」の証明。電工2種+経験者で年収350〜400万円なら、電工1種で450〜550万円が標準レンジ。資格手当も月10,000〜30,000円と倍以上に跳ね上がります。
② 自家用電気工作物の工事が可能に
中小ビル・工場・コンビニ・チェーン店など、6,600V受電の自家用電気設備の工事が可能になります。電工2種では入れなかった「キュービクル(高圧受変電設備)」の工事に従事でき、職人の世界が大きく広がります。
③ 5年ごとの「定期講習」で最新法令もキャッチアップ
電工1種は免状取得後5年ごとに「定期講習」を受講する義務があります。最新の電気設備技術基準・法令改正をキャッチアップでき、生涯にわたって最新スキルを維持できる仕組み。会社が受講料を出してくれる場合も多いです。
④ 電験3種・施工管理技士へのステップアップ
電工1種を取得すると、電験3種(第三種電気主任技術者)の「実務経験認定ルート」が見えてきます。さらに「電気工事施工管理技士」の受験資格にもなり、現場監督・施工管理者として独立開業も可能。年収600万円超のキャリアパスが開けます。
⑤ 独立開業・電気工事業の自営も可能
電工1種+実務経験5年で「電気工事業の登録」が可能になり、自分で電気工事会社を開業できます。「店舗・小規模工場の電気工事」を請け負う独立職人として、年収700〜1,000万円も視野に。「会社員ビルメン」から「独立電気職人」への道が拓けます。
電工2種をベースに学科を5ヶ月+技能を3ヶ月で固める、社会人向けプランです。合計200〜300時間を目標に。電工2種合格者を前提とした構成です。
第1〜8週:電気理論・電気計測(50時間)
電工2種の延長線で「三相交流回路」「電力・電圧降下」「計測機器」を深堀り。高圧回路の計算問題が頻出で、電工2種よりも数式が複雑になります。
第9〜16週:電気機器・配電・送電(50時間)
変圧器・誘導電動機・進相コンデンサ・キュービクルの構造と特性。自家用電気設備の保護協調も重要単元。図解の暗記と計算の両方が必要です。
第17〜20週:保安管理・施工方法(30時間
高圧ケーブル工事・接地工事・絶縁耐力試験などの実務知識。電工2種とは異なる「高圧」の世界の知識を身につけます。
第21〜24週:電気法規・電気設備技術基準(25時間)
電気事業法・電気工事士法・電気設備技術基準の最新版を読み込みます。電工2種より暗記量が3割増し。
第25〜28週:技能試験対策(45時間)
候補問題10問を1問40分で完成させる練習。電工2種より「VVRケーブル剥き」「KIP電線処理」「金属管端末処理」など難度が大きく上がります。練習材料2セット購入がおすすめ。
第29〜32週:直前総合演習(30時間)
過去問5年分を本試験形式で解き、「学科60%以上+技能完成」を確認。試験前1週間は新しいことに手を出さず、復習に専念しましょう。
電工1種は学科+技能の両方が必要なため、技能練習材料の確保も重要です(PR)。
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Case 1:32歳・電気工事会社2年目(東京)
電工2種を持って入社2年目で電工1種に挑戦。会社の先輩からSATの動画講座を勧められ独学+動画で6ヶ月学習。一発で学科・技能ともに合格。「2種と1種の難度差はかなりあるが、実務で使う知識ばかりだったので頭に入りやすかった。合格と同時に手当が月15,000円増えた」。
Case 2:38歳・元自動車整備士(神奈川)
整備士から電気工事業へ転職。電工2種を取って3年後、電工1種に挑戦。ユーキャンを8ヶ月かけて完走し合格。「8万円弱は痛いけど、技能材料も付いてくるし、添削指導で安心感があった。32歳から始めて38歳で1種、人生まだまだ動く」。
Case 3:45歳・元営業職→ビルメン(埼玉)
45歳でビルメン転職、電工2種+4点セット取得後、上位資格として電工1種に挑戦。HOZANの練習セット+市販テキストで独学、8ヶ月で合格。「ビルメン現場の高圧設備に関われるようになり、年収が420万円→510万円に。50歳までに電験3種を狙います」。
電工1種は、「電工2種+経験者」がさらに上のキャリアを目指す決定打。電気工事・ビルメン・施工管理など、複数の道が開けます。
業界別・年収アップ目安
| 業界 | 想定年収 | 資格手当 |
|---|---|---|
| 電気工事会社(職人) | 450〜600万円 | 月10,000〜20,000円 |
| ビルメン(中規模ビル) | 400〜520万円 | 月8,000〜15,000円 |
| 電気工事施工管理 | 500〜700万円 | 月15,000〜30,000円 |
| 独立開業(電気工事業) | 600〜1,200万円 | —(事業主) |
王道ルート:電工2種 → 電工1種 → 施工管理技士 / 電験3種
電工2種からスタートし、3〜5年の実務経験で電工1種、その後「電気工事施工管理技士」または「電験3種」へ。どちらに進んでも年収600万円超の世界が見えてきます。独立志向なら施工管理、技術志向なら電験という分岐です。
電工1種の受験資格は「なし」。電工2種なしでも受験可能です。ただし免状交付には「実務経験3年以上」が必要で、実務経験の蓄積には電工2種があった方が圧倒的に有利。「2種で実務経験→1種試験→1種免状」の順が王道です。
勤務先の事業主から「実務経験証明書」を発行してもらいます。電気工事の種類・期間・従事内容を記載した正式な書類。電工2種を取って電気工事会社で3年勤務した経歴があれば、ほぼ確実に認定されます。「ビルメン業務」だけだと電気工事の従事時間が不足することがあるので注意。
学科合格者は翌年度の技能試験のみ受験可能な「免除制度」があります。「学科合格→翌年技能再挑戦」のパターンは多数。逆に、技能だけ先に受かることはできません(学科合格が必須)。
合格証書は「試験に合格した」証明にすぎず、実際に電工1種として電気工事を行うには免状(電気工事士免状)が必要です。免状は実務経験3年達成後に申請し、知事から交付されます。「合格証書だけでは電工1種を名乗れない」のがポイント。
体感的には「電工2種の2〜3倍」。学科は三相交流回路・電力計算・自家用設備の保護協調などが新たに加わり、文系には壁。技能は「KIP電線」「金属管端末」「VVRケーブル」など新規器具・材料が増えます。電工2種で基礎を固めてから挑戦するのが安全策。
電工1種は免状取得後5年ごとに定期講習が義務。受講料は約9,200円で、1日6時間の講義(オンライン可)。怠ると免状取消の可能性があります。多くの会社は受講料を負担し、業務時間内で受講させてくれます。
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電工1種学科も2023年から「CBT方式」が選択可能。試験日を柔軟に選べるのがメリットで、忙しい社会人に人気。受験料はCBTの方が400円高いですが、「年1回の紙試験」を逃さない安心感を取るならCBT一択です。
電工1種+実務経験5年で「電気主任技術者の認定ルート」が使える場合があります(電気事業法による)。ただし、認定は経済産業省の審査が必要で、無条件ではありません。一般的には「電験3種を試験で取る」のが確実な道です。
第一種電気工事士の過去問・教科書・解説は、姉妹サイト「ビルメンアカデミー」(bilumen.jp)で無料公開予定です。
- 全分野の教科書(電気理論〜法規)
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元主任が監修した、現場の言葉で語る教科書です。試験合格までの「もう一冊」として、ぜひご活用ください。